「99%幸せで、1%つらい。でも、わが人生、楽しかった」
これはキャンディ・H・ミルキィさんが、特発性間質性肺炎の告知を受けた後に語った言葉です。彼は最期まで恐れることなく、自分の人生を振り返り、「燃え尽きる思いです」と静かに幕を閉じました。
キャンディ・キャンディの世界を生きた40年間
キャンディ・H・ミルキィさんは、40年間にわたり女装を続けました。それは単なる趣味ではなく、自分の美意識とアイデンティティを大切にする生き方そのものでした。彼が愛したのは、ただの服ではなく、「キャンディ・キャンディ」の世界観。その影響を受けたスタイルを貫き、まるで物語の主人公のように生き続けました。
地域に愛される存在
派手な装いでありながら、悪いうわさはなく、周囲の人々に礼儀正しく接していたことで、彼は地域に受け入れられていました。「ただ目立つ人」ではなく、「しっかりとした社会人」として生活を築いていたのです。印刷業を営み、仕事にも誠実だったことが、彼の生き方の支えとなっていました。
家族との距離と最期の絆
長年女装を続ける中で、家族との関係は複雑なものになりました。秘密裏に少女の服を集めていたことを知った家族は、戸惑いを覚えたかもしれません。しかし、そんな彼の最期に、19歳のお孫さんが病室に訪れ、所有物を引き取りたいと申し出たのです。
家族との間に距離ができていたとしても、時間の流れの中で何かしらの理解が生まれていたのかもしれません。最後の瞬間に、家族の一人が彼の人生を受け止めようとしていたことは、彼の生き方に対する一つの答えだったのではないでしょうか。
「死を怖れず、ただ楽しかった」 ー 彼が残したもの
難病の告知を受けたとき、多くの人は恐怖を抱くかもしれません。しかし、彼はそうではありませんでした。彼の心には、「もう少し楽しみたかったな」という想いはあれど、人生そのものを肯定する気持ちがありました。
それはまるで、「キャンディ・キャンディ」の結末をなぞるように、最後の瞬間まで物語を生き抜いたかのようです。