視覚障碍者が使いこなす最新テクノロジー
視覚障碍がある中で、どうやってスムーズに歩き、支払いをし、仕事をしているのか?多くの視覚障碍者にとって参考になる実用的なテクノロジーを活用しているのが、中根雅文さんだ。
彼が普段の生活や仕事で使っている技術は、視覚障碍者にとって大きな助けとなるだけでなく、誰もが取り入れられる便利なツールでもある。今回は、実際に彼が活用している方法を紹介していこう。
① 骨伝導イヤホン——周囲の情報と決済をスマートに
イヤホンをしていると、周囲の音が聞こえなくなる——そう思う人も多いだろう。しかし、中根さんが使っているのは骨伝導イヤホンだ。これなら、耳をふさぐことなく音声情報を受け取れるため、周囲の環境音を聞きながら必要な情報を確認できる。
さらに、電子マネー決済もイヤホンで音声読み上げがされるため、**「どの支払いが完了したか」**を聞くだけで把握できる。これにより、視覚に頼らずスムーズに買い物や決済が可能になるのだ。
② iPhoneの拡大鏡アプリで「人の有無」を確認
通勤時、座席が空いているかどうかをどうやって確認しているのか?中根さんはiPhoneの拡大鏡アプリの「人を検出する」機能を使っている。
この機能をオンにすると、**「人がいると効果音が鳴る」「人がいなければ音が鳴らない」**という仕組みになる。つまり、目で確認するのではなく、音で空席があるかどうかを判断できるのだ。
③ マスクの影響——風の流れが遮られて歩きづらくなる
コロナ禍でマスクをすることが増えたが、視覚障碍者にとっては**「風の流れを感じにくくなる」**という影響がある。
普段、顔に当たる風で**「前に障害物があるか」「広い空間なのか狭い場所なのか」を判断しているが、マスクをしていると風の変化が分かりづらくなり、歩くのが難しくなる**のだ。こういった細かい感覚が、視覚に頼らない歩行の重要なポイントになっている。
④ 社内での工夫——感圧式ジュースサーバーと点字カバー
中根さんの働くfreee株式会社では、職場内のアクセシビリティに配慮した工夫がされている。
例えば、ジュースサーバーは感圧式になっていて、横に酔いされている点字カバーを使うことで**「どこを押せばいいのか?」**が触るだけで分かるようになっている。
⑤ 仕事環境——点字ディスプレイと音声読み上げでプログラミング
エンジニアとして働く中根さんは、点字ディスプレイと音声読み上げを駆使してプログラミングをしている。
音声だけではコードの細かいミスを確認しづらいことがあるため、**点字ディスプレイを活用することで「正確に文字の配置を確認しながら作業できる」**のが大きなメリットだ。視覚に頼らず、こういった技術を駆使することで、視覚障碍者でも高度なプログラミングをこなしている。
まとめ——視覚障碍者向け技術は、誰にとっても便利になる
中根雅文さんが活用しているテクノロジーは、視覚障碍者のためだけでなく、誰にとっても便利なものばかりだ。
骨伝導イヤホン、iPhoneの拡大鏡アプリ、感圧式ジュースサーバー、点字ディスプレイ——こういった技術があることで、視覚障碍があってもより自由に行動し、仕事をし、日常を楽しむことができる。
こういう技術をもっと広めていけば、誰もが快適に生きられる社会になっていくだろう。あなたの身近な環境にも、アクセシビリティを広げる工夫ができるかもしれない——。