視覚障碍者が横断歩道を渡るとき、どのように信号の変化を察知しているのか？その答えの一つが「音」だ。
車の音で青信号を判断する——中根雅文さんの実践
先日の動画で視覚障碍者のエンジニア、中根雅文さんが歩いているとき、青信号に気づいてすぐに横断歩道を渡り始めた。スタッフが「どうして青信号だと分かったのか？」と尋ねると、彼は**「車の動く音が進行方向に聞こえたから」**と答えた。
これは、視覚障碍者が周囲の音を頼りに環境を把握する一例だ。信号が青になると、車が動き出す音が聞こえるため、それを合図に歩き始めることができる。
彼は通勤途中でよく知っている道だったから車の動きをちゃんと把握しての動きだった。歩行者専用道路とかだとそれはできないですけど。
視覚障碍者の「音の情報処理」——清掃作業中の手引き経験から
私が清掃の仕事をしていた際、点字ブロックを一時的にふさぐ作業があった。そのとき、白杖を持った視覚障碍者の方が来たため、「今、点字がふさがっているので手引きします」と声をかけ、3分ほど一緒に歩いた。
その方は、**「車の音で信号が何かを理解する」**と話していた。つまり、車の動きやエンジン音の変化を聞くことで、信号の状態を判断しているのだ。
しかし、同時にこうも言っていた。
「自転車は当てにならない」
自転車は、赤信号でも動く人がいるため、車のように信号の変化を正確に反映しないことがある。そのため、視覚障碍者が横断歩道を渡る際には、車の音を頼りにするが、自転車の動きには注意が必要なのだ。
視覚障碍者の横断歩道のリアルな工夫
視覚障碍者が安全に横断歩道を渡るためには、以下のような工夫がされている。
✅ 音響式信号機 → 「カッコー」「ピヨピヨ」などの音で青信号を知らせる
✅ 車の音を頼りに判断 → 車の動きが変わることで信号の変化を察知
✅ 周囲の人の動きを感じ取る → 歩行者の足音や気配で横断のタイミングを判断
しかし、音響式信号機はまだ設置数が限られており、地方では少ないのが現状。そのため、視覚障碍者は環境音を頼りに信号を判断するスキルを身につけている。
まとめ——視覚障碍者の「音の情報処理」は社会全体の工夫で支えられる
視覚障碍者が横断歩道を渡る際、**「音」**が重要な情報源となる。車の動きや周囲の音を頼りに信号の変化を察知し、安全に歩行する工夫をしている。
しかし、音響式信号機の設置が少ないことや、自転車の動きが信号と一致しないことなど、課題も多い。視覚障碍者がより安全に歩行できる社会を作るためには、音響式信号機の普及や、歩行環境の改善が求められる。
